In between days ①

昨年はさまざまな巡り合わせによりバンドが2つ増え、元々組んでいたものに加えわたしは現在計3つのバンドに籍を置いている。先週末はそのうち2つのバンドでライブを行う機会があった。土曜日は大分、日曜日は熊本という県外移動を含んだスケジュールで、別々のバンドのライブを2日つづけて行うのは初めての経験だった。そして土曜日の大分は友人のバンドと連れ立っての遠征であったため、これもまたわたしにとって初めての経験で、非常に思い出深い2日間となった。そんな記憶をせっかくなので記録したく思い、今回筆をとった次第である。

 

1日目大分へ向かうため10時半に起床。11時過ぎ頃車Aに迎えに来てもらい11時半熊大横コンビニにて車B他メンバーと合流、全員揃ったところでくじ引きをして車割りを改めて決める流れに。HideawayGt/Voがくじ引きを作成してくれていたが、段取りが非常に悪くたった7人でくじを引くのに10分くらい時間を要していた。厳正なるくじ引きの結果車Aに5人、車Bに4人で分かれ出発。わたしは車Aに割り振られ、大分までデュビアGtの運転で向かった(今回ライブに帯同したのはセリグマンの猫/Hideawayの2組だったが、レンタカー1台では移動できないためデュビア80000ccのGtが自家用車での運転を引き受けてくれた。ついでにデュビア80000ccのGt/Voもついてきた)。車内では終始会話が盛り上がり、楽しい移動時間となった。その中でも特にセリグマンの猫Gtのエピソードトークに耳を傾ける時間が多かった。HideawayGt/Voは気難しい人間として有名だがそんな彼も楽しげに会話に参加するくらい、セリグマンの猫Gtが話すエピソードは興味深く面白いものばかりだった。

休憩を一切はさまずノンストップで向かったため、15時前には大分市内に到着。リハや練習まで少々時間があったため街ぶら・食事をして楽しむことに。しかし車から荷物を降ろした後わたしとデュビアGt以外の3人が目的地とは逆方向に歩き出したので面食らった。そしてしばらく3人ともが間違いに気づかず歩きつづけていた。この旅の行く先に一抹の不安を覚えつつ、無事ライブハウスの近くにあるうどん屋に5人で入店。それぞれ思い思いにうどんやそばのメニューを頼む中HideawayGt/Voだけはカツ丼をチョイスしていた。別に何を選んでも自由だがカツ丼か〜と思った。わたしは天ぷらそばに舌鼓を打ちつつ5人での会話に花を咲かせた。昼食が済みまだ時間に余裕がありそうだったため、近くの公園内を散歩でもしようかという話になった。そこでベンチに座っている若いカップルがジェラートのようなものを食しているのをセリグマンの猫Drが発見。美味しそうなので食べに行きたいねとなったが、店名がわからない。そこでさりげなくカップルの背後を通り、ジェラートの容器に記されている店名を全員で読み取ろうとしたがあえなく失敗、カップルには明らかに不審がられていた。結局Googleマップでそれらしきお店を見つけたので移動して入店。皆でソフトクリームを食べ、セリグマンの猫は練習の時間が迫っていためライブハウスへ移動。

そこで車Bのメンバーと合流し、HideawayGt/VoとDrと共に近くのレコ屋へ向かった。レコ屋にはすでにデュビアGt/Voがおり、会話もそこそこに皆でレコードをディグった。HideawayGt/Voはディグ中興奮気味に独り言を連発していたが結局何も購入せず退店していた。

その後ライブハウスに戻りHideawayリハ、Gt/Voは初めての大分遠征ということもあり、緊張で呂律が一切回っていなかった。リハを終え、つづけてリハを行うHideawayBass&セリグマンの猫Gt/Vo以外の3人で近くの餃子屋へ。テイクアウトで餃子を5人前ほど注文し出来上がるまでの時間コンビニでお酒を購入。しかしなかなか餃子が焼きあがらず結局30分ほど待たされることに。その間空腹を堪えきれなかったGt/Voはそこそこ往来する人通りの中路上でコンビニのホットスナックを開封しようとし始めた。それをなんとか阻止しているうちに焼き上がった餃子を無事購入、今回宿泊するライブハウス上の宿へ向かった。リビングルームで餃子とお酒で乾杯、リハを終えたセリグマンの猫と合流しイベント開始時刻まで楽しく談笑。わたしは新しく手に入れたジャズマスターに慣れるため談笑中もそのNewギターを爪弾いていたのだが、ほろ酔い一缶で酔っ払ったHIdeawayGt/Voは自分が好きな曲をわたしが弾いていると横で勝手に歌いだし始めるので少々気が散った。

そんなこんなで19時にライブハウスがオープン、19時半にライブがスタートした。1組目から圧巻のライブで、フロアは非常に良い雰囲気に。しかしわたしは楽しさ反面一抹の不安に襲われた。Hideawayの出番は2組目であったため、この最高の雰囲気を次のセリグマンの猫に繋げなければならない。今のHideawayには少々荷が重く感じられたが、やるしかない。気合いを入れ直しセッティングを終え、緊張で顔が白くなっているGt/Voのかき鳴らすギターから1曲目が始まった。1曲目の勢いのまま3曲続けて披露したところでMCで小休止。MCはバンドリーダーであるGt/Voが一手に引き受けているのだが、緊張のためか余り芳しくない内容であった。「大分から来ました」などと訳の分からないことを述べていたが笑いは一切起きず、その言い間違いを特に訂正もしないまま4曲目が始まった。勢いを失ったまま4曲目5曲目とつづけた後再びMCの時間に。今度こそ良いMCをという気概もGt/Voからは特に感じられず、とりあえず3月に予定している我々の自主企画を宣伝していた。その宣伝の中で、自主企画タイトルがこの後やる6曲目の曲名から来ているという事実を初めて明かしていたが、特に観衆からの反響やどよめきなどは一切なく最後の曲が始まり、そしてHideawayのライブは終わった。個人的にも余り良いギターを弾けず、バンドとしても全力を出せなかったように思う。ライブを目撃したセリグマンとデュビアの面々から聞いたところによると、HideawayGt/Voは歌唱中幾度となく白目を剥いていたという。なんとも悔しい結果であった。良い雰囲気で3組目のセリグマンの猫に繋げることが出来なかったため申し訳なさしかなかったが、セリグマンがその重い雰囲気を跳ね飛ばすほどの良いライブをしてくれたため救われた。Baが急遽不在となりWendy York Standのメンバーがサポートとして弾いていたが、そんな不測の事態にもなんのその素晴らしい演奏で大分の方々の心を掴んでいた。

ライブが終わってからの箱打ち上げは非常に良い雰囲気で、対バン・ライブハウスの方々のおかげで楽しい時間を過ごせたのだが、HideawayGt/Voだけは激しく憔悴しきっており、周りの人間に終始気を遣わせていた。自分のライブの出来がよくなかったことと、セリグマンの猫のライブがよすぎたことが原因で体調不良に陥ってしまったらしいと誰かが言っていた。それが本当かはさておき、近年稀に見る態度の悪さであった。わたしもこの時彼に不愉快な言葉を投げかけられ、そのストレスのせいか打ち上げ中に吐き気を伴う激しい頭痛に襲われた。そっと上階の宿に移動し鎮痛剤を服用したことで痛みはやがて和らぎ、再び打ち上げ会場に戻ることができたためほっとした。

日付をまたぎ打ち上げが終わったところで、最後に集合写真を撮ることになった。例の如く不機嫌だったHideawayGt/Voはなぜかその場にいなかったが、気を遣ってくださったライブハウスの方が連れ戻し一緒の写真に収まることができた。しかしその時も一切悪びれる様子もなく不機嫌な様子で終始無言を貫いていた。ライブが始まるまではあんなにも上機嫌だったのに、まさかこんなことになるなんて誰が予想できたであろうか。

そんなこんなで大分の方々に別れを告げ上階の宿へ移動し、入浴など各々の時間を過ごした後、全員でItoというボードゲームをプレイした。今日のためにわざわざ購入し用意してくれたデュビアGt/Voの気概に感嘆しつつ、朝5時頃までそのゲームに興じた。その後皆寝る支度を済ませ続々と寝室に消えていったが、デュビアGt/Voはリビングにて大口を開け、デンタルフロスでせっせと歯間を掃除していた。人前で堂々と歯間を掃除できる人間に憧れこそしないが、好奇の目にさらされながらも歯の健康を1番に考えるその気概にはやはり感嘆した。そしてわたしとセリグマンの猫Dr、デュビアGt/Voの3人だけがリビングに残り談笑、朝6時頃まで様々な話題に花を咲かせた。ひとしきり喋った後流石に猛烈な眠気に襲われそれぞれ寝室へ、わたしは1人だけ廊下の側の部屋をあてがってもらっていたため1人で就寝。しかしなぜか余り寝付けず、寝よう寝ようと頑張っているうちに気づけば起床時間になっていた。10時過ぎにわたしがリビングに出るとすでにHideawayの2人の姿が。もちろんGt/Vo以外の2人である。リビングには彼とセリグマンの猫Drの衣類が散乱していて、意外な共通点が浮かび上がっていた。やがて次々にメンバーたちが起床し、11時前には再び全員がリビングに揃っていた。HideawayGt/Voは相変わらずご機嫌ナナメであったが、学生時代のスポーツテストの話題になると自らのスポーツマンぶりを饒舌に語っていた。しかしセンター試験の点数の話題になると再び口を閉ざしていた。

全員が支度を済ませいざ熊本へ。車割りはわたしと同じく熊本でのライブを控えるデュビアの2人とセリグマンの猫Drが車Aに、車Bにその他の5人となった。車Bは熊本へ帰る前に湯布院で食べ歩きなどの観光を楽しむ予定とのことで、彼らとはライブハウス近くの駐車場で別れることに。昼食は最後に皆で一緒に食べないかというわたしの提案は食べ歩きに全力を注ぎたいとのことですげなく断られてしまった。デュビアの面々やわたしが、熊本でのライブに来てほしい旨を車Bの面々にそれとなく伝えたが全員微妙な顔をしていた。そんな駐車場での別れに寂しさを感じつつも車Aは熊本へ出発。行きと同じく運転役を買ってくれたデュビアGtに感謝しつつ談笑、デュビアGt/Voは会話中に悲鳴を上げるほど楽しんでいた。そして昼過ぎに大分のとある中華そば店に到着、絶品の中華そばをたいらげ満腹になったところで再び熊本へ出発。15時過ぎには無事熊本市内に到着し自宅まで送り届けてもらい、彼らとはしばしのお別れ。

〜2日目熊本編につづく〜